有効求人倍率とは何を意味するかを理解して活用する
求人倍率は、求職者一人に対して求人数が何件あるかを示すもので、例えば求職者10人で求人件数が20件であれば、求人倍率は2.0倍となります。求人倍率が高ければ高いほど、会社が働いてくれる人を欲しがっているわけですので、おおざっぱに見て景気がいいということができるでしょう。
加えて、求人倍率が1.0倍よりも高くなるほど労働者側が有利で、これは俗に売り手市場などと言われますし、その逆は買い手市場です。この求人倍率には何種類かあり、その中でも厚生労働省が毎月発表する有効求人倍率が最も代表的なものになります。
有効求人倍率は公共職業安定所での月間有効求人数を月間有効求職者数で割った数値です。有効求人倍率の変動を見ると景気が見て取れることから、景気判断をする際の代表的な指標とされています。
ただ、有効求人倍率にはインターネットでの就職サイトや就職雑誌などの公共職業安定所以外の数値は反映されていません。付け加えるなら、正社員の求人も派遣社員の求人も等しく1件と計算されますので、どんな求人が計算値を押し上げているかという点は分からないのが問題点です。
有効求人倍率は、地域ごとの産業構造や人口の違いといったものが反映されるため、全国どこでも一律の値とはならず、地域によって差が生じます。人口の多い地域と少ない低い地域によって差があり、都市部で高倍率になる傾向があるのです。
また、職種ごとの有効求人倍率もかなりの差があり、一般的に人材不足の職種では倍率がかなり高くなります。有効求人倍率をうまくつかっていくためには、こういった特徴や弱点があることを理解する必要があります。
求人倍率を理解して就職活動に利用する方法
求人倍率は、インターネットやテレビのニュースで報道されることが多いので、誰でも聞いたことがあるでしょう。良く聞く求人倍率ですが、その定義と求人倍率の重要性について理解しておくことで、就職活動に役立てられます。
求人倍率とは仕事を探している人に対して、何件の求人があるのかを示しているものです。具体的には、仕事を探している人が10人いたとして、そこに5件の求人がある場合には求人倍率は0.5倍になります。
この例では、仕事をしたい人の数が求人数よりも少ないため、仕事を探す側が有利だと言うことができます。一方、求人倍率が1を超えた場合には、求人数の方が求職者よりも多いため、労働者の側に有利な状況になります。
求人倍率が1を下回れば就職先が決まりにくく、求人倍率が1より大きければ就職先が決まりやすいと言えます。例えば、企業が生産している商品が多く売れているとき、企業はさらに業績を伸ばすために商品を増産します。
増産を行うためには、追加の労働力を確保しなければならないので、求人数は多くなります。一方で、景気が下振れしてくれば社会の購買意欲が低下を始め、企業の製品は売れなくなり、生産能力がだぶついて人を雇わなくなります。
このようにして、求人倍率が高くなっている時には景気が良く、逆に求人倍率が低くなっている時には景気が悪い、という図式が成立します。求人倍率はその国の経済の状態を表す経済指標として有用であるため、就職活動時には気にするべき重要なデータと言えます。
求人倍率と実質賃金について
有効求人倍率は、職安で取り扱っている求人数を、やはり職安に求職してきた人の数で割ったものになります。この倍率が1.0より高ければ、仕事を探している人が求人数よりも少ないということになるので、職が見つかりやすくなります。
仕事を探すという点から見れば、求人倍率はより高い方がいいことになります。求人倍率が高いということは、労働市場に職があふれているので、より条件の良い仕事を選ぶことができるからです。それだけ、自分に合った仕事に就ける可能性が増えることになります。
最近では高い求人倍率が継続していますので、その点だけ見れば、求職者にとって有利な労働市場になっていると言えそうです。有効求人倍率は高くなっているものの、働く人がもらっている実質賃金の金額はそれほど上がっていないので、その点からみれば環境がよくなっていません。
失業している状態を考えるならば、ある程度給与面で我慢することも必要だという言い方もできそうですが、それでも給与は高いほうがいいはずです。
それなりの金額の給料を手にできなければ、モチベーションの維持も難しくなりますし、そんなことが続けばいずれ生産性が悪化してしまうかもしれません。
高い求人倍率が継続していて職を探しやすい状況であったとしても、実質的な賃金も上がっていかなければモチベーションが下がってしまうでしょう。
最低賃金並みの仕事を増やせば、確かに有効求人倍率は上がりますが、それでは全体の豊かさにつながりません。求人倍率が上がったから景気が良くなっている、というのは簡単ですが、実情をしっかり見なければ問題は解決しないとも言えます。